私は,長年中堅電機メーカーの経理として働いてきました。しかし,長引く不景気,業界内の競争激化のあおりを受け,会社の収益が悪化し,人員削減が噂されるようになりました。そうしたところ,先日,上司に呼ばれて,能力不足なので解雇する,来月から会社に来なくてよいと言われました。これまで多少のミスはあったとしても,誠実に仕事をしてきましたので,能力不足だと言われても納得がいきません。解雇に対しては,裁判所で行う労働審判という手続があると聞きました。どのような手続か教えてください。
労働審判は,裁判所で行う解決手続で,3回以内の期日で審理が終わりますので,申立から2,3ヶ月以内でスピーディな解決が期待できます。また,調停が成立しない場合,労働審判委員会が労働審判を行います。他方で,審判に対する異議が出された場合には,自動的に本訴に移行することとされています。
個別労働関係民事紛争に関し,労働審判委員会(裁判官である労働審判官1名と労使の労働審判員2名で構成)が,事件を審理し(争点及び証拠の整理),調停を試み,調停が成立しない場合には労働審判(権利関係を踏まえつつ事案の実情に即した解決をするために必要な審判)を行う手続です。
労働審判手続は,通常の民事裁判手続と同様に,当事者間で主張・立証を展開しながら裁判をするものですが,他の裁判手続との比較で特徴的な点は,次のとおりです。
解雇後に,労働者が、地位補確認の仮処分等を申し立てた後,本訴で最終的な結論(第1審まで)が出るまで,一般的には,1年~2年位かかるといわれています。そこで,当事者間に深刻な対立が無く調停成立の見込がある場合などは,スピーディな解決が期待できる労働審判が適していると言えます。
他方で,労働審判は,調停が成立せず,審判がなされた場合でも,当事者から異議が出されれば,本訴に自動的に移行します。それゆえ,当事者間に深刻な対立がある場合(例えば,労働者が復職を求め,使用者がそれに応ずる見込が無い場合など)には,労働審判だけでは解決ができず,結局本訴に移行することになってしまう可能性が高いと言えます。このような場合は,原則的には,労働審判手続は選択されず,仮処分+本訴の手続が選択することが多いです。もっとも,このような場合に労働審判を申し立て,地位確認の審判が認められれば,それが仮処分決定を得るための有力な疎明資料(証拠)となることもあります。また,労働審判を経た後の本訴の進行は,既に当事者から主張・証拠が出された後なので,比較的迅速に審理が進められるという実情もあります。従って,当事者間の対立が深刻である場合でも,労働審判が選択される可能性はあります。
解雇された又はされそうなあなたが採れる手段は,ケースバイケースですが,直ちに解雇の撤回・復職を求めたり,あなたが解雇されなければもらえたはずの賃金を請求したり,不当解雇による損害賠償を請求したりすること等が挙げられます。
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会社側の対応は様々ですが,あなたを退職に追い込むために様々な働きかけをする事が多いのが実情です。
会社があなたの要望に応じない場合は,裁判を起こします。具体的には,賃金仮払い仮処分手続,労働審判手続,訴訟手続などがありますが,事案に応じてあなたにもっとも適した手続を選択して,あなたの請求の実現を目指すことになります。
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不当解雇と闘う場合,ケースバイケースに採るべき対応策や確保すべき証拠も異なります。また,時々刻々と状況が変わっていき,その都度適切な対応をとることが必要です。この対応が間違っていた為に,その後の交渉や法的措置の段階で不利な状況に立たされることもままあります。また,一人で会社と戦うのは不安がつきまとうものです。
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会社側の対応は様々ですが,あなたを退職に追い込むために様々な働きかけをする事が多いのが実情です。労働者が会社に対し各種の請求を行い,対等な立場で交渉に臨むことは一般的には困難であることが多いといえます。そこで,弁護士は,あなたに代わり,情報収集のお手伝いをしたり,解雇の撤回等を求める通知を出したり,会社と交渉したり致します。弁護士の指導の下で適切な証拠が確保でき,弁護士が法的根拠に基づいた通知書を出し交渉することで,あなたにとって有利な結論を,裁判を使わずに勝ち取ることが可能です。
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