私は,長年中堅電機メーカーの経理として働いてきました。しかし,長引く不景気,業界内の競争激化のあおりを受け,会社の収益が悪化し,人員削減が噂されるようになりました。そうしたところ,先日,上司に呼ばれて,能力不足なので解雇する,来月から会社に来なくてよいと言われました。これまで多少のミスはあったとしても,誠実に仕事をしてきましたので,能力不足だと言われても納得がいきません。会社との間で解雇の撤回等を求める交渉をしましたが,会社は強硬なスタンスを崩さず,あくまでも解雇は有効であると主張し続けています。労働審判手続をとっても,調停がまとまりそうもありませんし,解雇無効を前提とする労働審判に対しても会社は必ず異議を出すと思われます。このような場合,裁判所で訴訟を提起する必要があるようですが,どのような手続か教えてください。
訴えの提起は,原告が「訴状」を裁判所に提出することにより行います。訴状には,請求の趣旨,請求の原因のほか,請求を理由づける具体的な事実や,被告が争うであろう事実,すなわち原告が証拠で証明しなければならないであろう事実に関連する重要な事実(重要な間接事実)及び証拠(証拠方法)をも記載し,重要な証拠を添付する必要があります。
提出された訴状は,方式等の審査を経たうえで第1回口頭弁論期日呼出状とともに被告に送られます。これに対し,被告は訴状に対する反論を「答弁書」としてまとめ,提出期限までに裁判所に提出しなければなりません。もし被告が第1回口頭弁論期日に出席せず,期日までに答弁書も提出していなければ,被告が原告の言い分を全て認めたものとみなされて,判決が下されてしまいます(いわゆる欠席判決。基本的に原告の言い分を全て認める内容の判決になります。)。答弁書には,請求の趣旨や請求の原因などに対する答弁を記載し,訴状と同じく,重要な事実(重要な間接事実)及び証拠(証拠方法)をも記載し,重要な証拠を添付する必要があります。
口頭弁論期日では,当事者が訴状,答弁書,準備書面の陳述等によって主張を述べ,証人尋問等の証拠調べも行われます。また,口頭弁論における審理を充実させるため,争点及び証拠の整理をする期日(「準備的口頭弁論」,「弁論準備手続」,「書面による準備手続」及び「進行協議期日」)が口頭弁論期日外に設けられることがあります。
口頭弁論が終結すると判決が言い渡されます。言い渡された判決に不服のある当事者は,判決正本を受け取ってから2週間以内に控訴をすることができ,控訴がなければ判決はそのまま確定します。
なお,当事者双方は,訴訟手続のいかなる段階でも,自主的に,あるいは裁判官の勧告により,互いの主張を譲り合って和解を成立させ,和解により訴訟を終了させることができます。和解の内容が調書に記載されると,確定判決と同一の効力を有します。
労働裁判所は存在せず,通常裁判所が労働事件も取り扱いますが,東京や大阪などの大規模な地方裁判所には,労働事件の専門部が置かれています。
一般に,未成年者は訴訟能力(訴訟の当事者として自ら有効に訴訟行為をし,相手方や裁判所の訴訟行為を有効に受けることができる能力のこと)を欠いているため,通常は法定代理人(親権者である両親など)によって訴訟が行われますが,労基法において未成年者は独立して賃金を請求できると定められている(労基法59条)ことから,賃金請求訴訟では未成年者にも訴訟能力が認められています。また,未成年者が法定代理人の同意を得て労働契約を締結した場合は,その労働契約上の請求一般について訴訟能力が認められると解されています。
また,労働関係民事事件(第1審)の平均審理期間は,平成20年1~12月に終結した事件について12.3月であり,同時期の通常民事事件(第1審)の平均審理期間が8.1月であるのと比べると,およそ1.5倍となっていて,その理由としては,ⅰ)立証の困難性,ⅱ)原告多数の事件の多さ,ⅲ)当事者間の対立の厳しさ,などが挙げられています(最高裁事務総局「裁判の迅速化に係る検証に関する報告書」)。
まず,迅速性の観点からみれば,労働審判では3回以内の期日で手続が終了し,これに要する期間が3か月程度とされており,訴訟に比べ圧倒的に優れているといえます。
しかし,例えば,労働者が職場復帰による解決を望み,金銭的な解決は一切受け入れられないとする一方,使用者が職場復帰は絶対に認められないと主張しているような,当事者間の対立が鋭く,労働審判が出されても当事者のいずれかが異議を出すことが確実視されるようなケースや,事案が複雑であり,労働審判法24条1項による手続終了が見込まれるケースでは,最初から訴訟を利用すべきであるといえるでしょう。
なお,労働審判に対して異議が出され,訴訟に移行する場合には,急遽,地位保全及び賃金仮払仮処分命令申立を行い,訴訟に備えることが多いですが,その際,解雇無効の判断が示された労働審判が出されていれば,それを当該仮処分申立の疎明資料として利用できるというメリットがあります。
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会社側の対応は様々ですが,あなたを退職に追い込むために様々な働きかけをする事が多いのが実情です。労働者が会社に対し各種の請求を行い,対等な立場で交渉に臨むことは一般的には困難であることが多いといえます。そこで,弁護士は,あなたに代わり,情報収集のお手伝いをしたり,解雇の撤回等を求める通知を出したり,会社と交渉したり致します。弁護士の指導の下で適切な証拠が確保でき,弁護士が法的根拠に基づいた通知書を出し交渉することで,あなたにとって有利な結論を,裁判を使わずに勝ち取ることが可能です。
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