私は電子部品メーカーに期間を1年間と定めて嘱託社員として雇用され,以降5回の契約更新を経て現在は6年目です。採用の際に,「契約期間が満了しても,まじめに働いていれば解雇されることはない。安心して長く働いて欲しい。」などと説明され,また,業務内容は,正社員と同じ内容の業務に携わってきました。しかし,先日,会社より期間満了で契約は終了し,契約の更新はしない旨告げられました。これはいわゆる雇い止めだと思いますが,そもそも雇い止めはどの様な場合に認められるのですか?その基準はあるのでしょうか?
客観的に一時的・季節的な仕事ではなく,契約更新が繰り返されてきたような場合は,解雇に関する法理が類推適用されることがあります。このように,類推適用される場合は,通常の解雇の場合と同様に解雇権濫用法理(労働契約法16条)などの規制を受け,雇い止めが有効か否かが決められます。
その類推適用をするか否かについて法律上基準はありませんが,裁判例の積み重ねにより一定の基準を読み取ることは可能です。具体的には,(1)有期契約が実質において期間の定めのない契約と異ならない状態で存続する場合や,(2)有期契約の更新に対する合理的な期待がある場合に,類推適用されると言われています。そして,(1),(2)のように類推適用されるか否かは,①仕事の内容が臨時的・補助的か,基幹的か,②更新の回数,③雇用の通算期間,④更新手続が形式的であったりずさんであるなど契約期間管理の状況,⑤雇用継続の期待を持たせる言動や制度の有無,⑥労働者の継続雇用に対する期待などを総合考慮して決められます。
労働基準法14条によれば,契約期間を定める場合,その上限は原則として「3年」とされています。この上限規制は,更新後の契約にも及びます。
そして,この上限を超えた期間を定めた契約は,制限期間の上限の期間(3年)を定めたものとみなされ,また,その上限期間を超えて労働関係が継続された場合は,黙示の更新により期間の定めのない契約となると解されています。
なお,労働契約法4条2項によれば,契約期間の更新の有無,更新の判断基準などは,使用者と労働者ができる限り書面で確認すべきこととされています。
「有期労働契約の締結、更新及び雇止めに関する基準(H20.1.23厚労告第12号)」には,契約を3回以上更新し,または,雇入れの日から起算して1年を超えて継続勤務している者については,少なくとも契約期間の満了する30日前までに雇い止めの予告をしなければならない旨,規定されています。
また,労働契約法17条2項は,不必要に短期の有期労働契約の反復とならないよう配慮すべき義務を定めています。この規定の趣旨は,使用者に対し当初から必要な期間を定めるように配慮することを求めることで,契約期間の長期化を促し,雇い止めをめぐる紛争の原因である契約更新そのものを減少させることにあります。
長期にわたり更新が繰り返されてきたケースや,更新に対する合理的な期待があるケースなどでは,通常の解雇の場合における解雇権濫用法理(労働契約法16条)が類推適用され,雇い止めが有効となるためには,解雇と同様の厳格な要件が必要とされています。過去の裁判例によれば,次のような条件があれば,雇い止めの有効性は,解雇と同様に厳しく判断されることになります。
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最一小判昭和49・7・22民集28巻5 -927
(裁判所の判断)
期間が定められていても,反復して更新され,実質上期間の定めのない契約と異ならない状態に至っている常用的臨時労働者の場合は,雇い止めを行なう際に,正規従業員に対して適用される「解雇権濫用の法理」(社会通念上認められる合理的理由がないと解雇権の濫用となり,解雇が無効となるとする原則)が適用されるとし,「余剰人員の発生等従来の取扱い(契約期間の更新)を変更してもやむを得ないと認められる特別の事情」がなければ雇い止めはできない,と述べています。
最一小判昭和61・12・4労判486-6
(裁判所の判断)
期間の定められた労働者であっても,臨時的作業ではなく恒常的な作業に従事している場合は,ある程度の雇用継続が期待されているとみなされるため,「解雇権濫用の法理」が適用されることを認めています。