不当解雇.com > 不当な配置転換・出向・転籍 > 転籍とは?
私は,プレス用精密金型などを製造・販売する会社の工作機械事業部で勤務しています。ところが,会社は,経営規模の縮小を図るため,昨年来売上げの落込みが大きい工作機械事業部を子会社化し,工作機械事業部の従業員のうち子会社の事業に必要な人数を転籍させると発表しました。そこで,賃金が大幅にカットされることなどを理由に転籍を拒否したところ,会社は私に対し,解雇を通告してきました。このような解雇は有効なのでしょうか。
出向とは,雇用先企業との労働契約に基づく従業員としての地位を保有したまま,他企業(出向先)の指揮監督の下に労務を提供するものです(在籍出向といわれることもあります)。一方,企業との現在の労働契約を解消したうえで,新たに他企業との間で労働契約を締結し,他企業の業務に従事するものを転籍といいます。転籍には,原則として,労働者の個別的な同意が必要とされています。また,判例によれば,転籍を拒否した者を解雇することは,整理解雇の4要件を満たさない限り,無効であるとされています。
そこで,次の対応を検討することになります。
企業との現在の労働契約を解消したうえで,新たに他企業との間で労働契約を締結し,他企業の業務に従事するものを転籍といいます(移籍出向といわれることもあります)。元の会社の身分を有したまま他の会社に就労する出向(在籍出向)と異なり,元の会社の身分を失うことが転籍の最大の特徴です。
転籍には,原則的には,当該転籍が問題となった時点での労働者の個別的な同意が必要であり,労働協約や就業規則の条項を根拠に転籍を命じることや,事前の包括的同意で足りるとする考えは認められていません(裁判例の多くも同様の立場をとっています。日東タイヤ事件・最判昭48.10.19労判189,ミロク製作所事件・高地地判昭53.4.20労旬960,三和機材事件・東京地決平4.1.31判時1416-130など)。 ただし,裁判例の中には,親会社から子会社への転籍につき,親会社の入社案内に当該子会社が勤務地の1つとして明示されていたこと,採用面接時に転籍がありうる旨の説明がなされ,それに対し労働者が異議のない旨回答していること,当該子会社は実質的には親会社の一部門として扱われており,転籍も社内配転と同様に扱われてきたことなどの事情を考慮し,事前の包括的同意に基づき,転籍は有効としたものもあります(日立精機事件・千葉地判昭56.5.25労判372-49)。
企業の特定部門を分社化したり,事業譲渡後に譲渡会社を解散・清算したりするのに伴い,もっぱら人員削減を目的として転籍が実施される場合があります。しかし,このような場合でも,原則的に労働者の同意がなければ,会社は転籍を一方的に命じたり,強要したりすることはできません。まして,事業譲渡に伴う転籍に同意しなかったことを理由に,労働者を解雇することは認められません。裁判例には,特定部門の子会社化に伴い,労働者に転籍命令が出された際に,転籍を拒否した1人が解雇されたというケースにつき,整理解雇の要件を検討した結果,大半の労働者が転籍に応じた以上,会社はすでに経営規模の縮小を達成しており,残る1人を解雇するまでの必要性がないとし,解雇を無効としたもの(千代田化工建設事件・東京高判平5.3.31労判629),(事業)譲渡会社と譲受会社が実質的に同一とはみなされないケースにつき,事業譲渡に伴う転籍が特定の労働者を個別に排除するためのものであったと評価して,譲受会社が労働者の選別を行えるとする事業譲渡契約の条項を公序良俗違反で無効としたもの(勝英自動車事件・横浜地判平15.12.6労判871-108)などがあります。なお,事業譲渡と異なり,会社分割の場合は,承継される事業に主として従事する労働者の労働契約は,原則的に分割契約等の定め通りに承継会社に承継されることになり,承継に際しては労働者の同意も必要とされません。
解雇された又はされそうなあなたが採れる手段は,ケースバイケースですが,直ちに解雇の撤回・復職を求めたり,あなたが解雇されなければもらえたはずの賃金を請求したり,不当解雇による損害賠償を請求したりすること等が挙げられます。
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あなたのケースでは解雇は有効になるのか否か,具体的な対策として打つべき手は何か,証拠として押さえておくべきものは何か等をアドバイスします。
法的措置をとる場合はもちろん,交渉による解決を目指す場合も,証拠の確保が極めて重要になります。あなたにとって有利な証拠を出来るだけ確保して下さい。
まずは,法的措置を用いず,会社と交渉して,あなたの望む結果(解雇を撤回,復職,未払残業代の支払い,より有利な条件での退職等)が得られるようにします。
会社側の対応は様々ですが,あなたを退職に追い込むために様々な働きかけをする事が多いのが実情です。
会社があなたの要望に応じない場合は,裁判を起こします。具体的には,賃金仮払い仮処分手続,労働審判手続,訴訟手続などがありますが,事案に応じてあなたにもっとも適した手続を選択して,あなたの請求の実現を目指すことになります。
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不当解雇と闘う場合,ケースバイケースに採るべき対応策や確保すべき証拠も異なります。また,時々刻々と状況が変わっていき,その都度適切な対応をとることが必要です。この対応が間違っていた為に,その後の交渉や法的措置の段階で不利な状況に立たされることもままあります。また,一人で会社と戦うのは不安がつきまとうものです。
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会社側の対応は様々ですが,あなたを退職に追い込むために様々な働きかけをする事が多いのが実情です。労働者が会社に対し各種の請求を行い,対等な立場で交渉に臨むことは一般的には困難であることが多いといえます。そこで,弁護士は,あなたに代わり,情報収集のお手伝いをしたり,解雇の撤回等を求める通知を出したり,会社と交渉したり致します。弁護士の指導の下で適切な証拠が確保でき,弁護士が法的根拠に基づいた通知書を出し交渉することで,あなたにとって有利な結論を,裁判を使わずに勝ち取ることが可能です。
もし,会社があなたの要望に応じない場合は,裁判を起こします。
具体的には,労働審判手続,仮処分手続,訴訟手続などがありますが,事案に応じてあなたにもっとも適した手続を選択して,あなたの請求の早期実現を目指します。
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